Web解析はマーケティングの基本だ。定期的にWeb解析を行い改善を実施してないサイトでデジタルマーケティングツールを導入しても「運用」は難しい。 デジタルマーケティング の実施には、まずこの基本に立ち返る必要がある。Web解析の代表的ツールとして無料で使えるGoogleアナリティクスがあるのは周知の通りだが、 解析を始めた大方のユーザは2つの問題にぶち当たる。

■Googleアナリティクスの数値を眺めていても課題は見つからない

解析でぶち当たる二つの問題とは、一つは単純にツールの使い方だ。これは慣れるしかない。

もう一つは課題の見つけ方。ツールからアウトプットされる「数字」「グラフ」を眺めていても実は課題の見つからない。もっとも重要なポイントであるが、これについて解説しているコンテンツは意外と少ない。簡単ではあるがその概要を以下で解説する。

■数値の見方

「数値」はある意味、すべて定量的な情報である。しかしWeb解析に於いて定量的な分析はもちろん、実は定性的な意味を含んでいる数値がある。この把握でユーザの想いや行動が推測できる。例えば以下のように数値を見る

●サイトを定量的に見る数値

セッション数、訪問者数、ページビューなどが代表的な数値で定量的に分析をするには必須の数字だ。PVを中心に見る人もいるが、私はユニークユーザが見えるセッション数、訪問者数を重要視している。

  • セッション数
  • 訪問者数
  • ページビュー数

例えば、進入が多い (または少ない) コンテンツ、CV率が多いコンテンツ等の発見を行うには必要な数値指標だ。

●ユーザの想いや行動を推測する数値

直帰率、平均訪問時間、平均ページ閲覧数などでユーザの想いや行動が推測できる。

  • 直帰率
  • 訪問者数
  • 平均ページ閲覧数

ただし単純に、これらの数値の多い、 少ないで情報の優劣を見ない方が良い。例えば以下のような推測が必要となる。

●TOPページの見方

多くのTOPページは表紙、見出しの機能となっている。訪問者に興味を持たせ、階下層の必要な情報が掲載されているページへ誘導することが目的となる。

つまり訪問者数は最大になる必要があるが、さらに直帰率は最小、平均ページ閲覧時間も最小になるのが理想である。

なぜなら「情報が見つからない(実際には用意されている)」という場合、数値的には、 情報を探すというアクションのために平均閲覧時間が長くなり、しかし見つからないという判断のために直帰率も高くなる。この場合TOPページとしてUIの改善が必須となる。

●情報ページ

情報が掲載されているページの場合、TOPページとは逆に 平均ページ閲覧時間は長くなる必要がある。また下位階層ページはスムーズにCVへ誘導する必要があるため、直帰率は少なく、またCVへの貢献度(誘導数など)も重要な指標となる。(下位階層の場合、ページ性格上、直帰率が多くなるのが仕方がないエリアもある)

このように多いから優秀、少ないから悪いという単純判断ではないことに注意したい。

■基本は比較により発見する

実際の課題の発見方法に関して解説してみよう。解析に於いて頭の中心に記憶して頂きたい点がある。課題の発見は100%「比較」により行う。科学の基本でもあるが比較無しに新しい発見はできない。また比較無しに説得力はない。それはどんなに優秀なスーパー解析士でもそうだ。では何を比較するのかをブレイクダウンしてみよう。基本は以下の3つとなる。

  • 期間の比較(年次、月次、日時)
  • サイト内のページ比較
  • 他社比較

●期間の比較

期間の比較は基本中の基本である。 特に ページ更新、新設、修正、リニューアルなどに於いては、わかりやすい効果測定の指標となる。また変更や新設がなくとも市場トレンド、ユーザトレンドの変化などの発見も行える。

●サイト内ページ比較

サイト内のページ比較も重要である。特にコンバージョンに関する効果を見極める場合に効果的だ。コンバージョンの効果次第で力を入れるべきコンテンツ、費用対効果が悪いコンテンツなどが発見でき、効率的な運用が行えるようになる。

●他社比較

競合他社の比較はビジネスに於いて基本である。そして実は最も欲しい情報であるが、残念ながら通常の解析ツールでは取得できない。しかし海外等のサービスで競合他社比較ができるサービスもあるため、状況に応じて使ってみることも必要だと思われる。

■解析の進め方

解析には進め方がある。メニュー順でみても、ランダムに見ても効率的な課題発見は行えない。解析手順で重要な点は以下の通りだ。

  • 森から木へ、木から枝へ
  • 入口から出口へ
  • コンバージョンに至ったユーザとの比較

●庭から木へ、木から枝へ

もしかしたら植木職人の手順に近いのかもしれない。庭全体を観察し課題を見つけることで、重要な課題の発見が行なえる。そして課題となる木を見て、修正すべき枝を見つけることで効果的な改善点が見つかることになる。Webではサイト全体からディレクトリ単位(コンテンツカテゴリ単位)、各ページ単位と目を配ることで効果的な課題発見に繋がる。

●入口から出口へ

ユーザの行動を把握する上で入口から出口(CVポイント)を見ることでも重要な課題が発見できる。特に当初描いていたユーザ行動設計(カスタマージャーニー想定)が正しかったか間違えたかを見極め改善することは重要である。数字的には画面遷移や直帰率、CV率を中心に見ていくとよい。

●コンバージョンに至ったユーザ

最後にコンバージョンに至ったユーザ、至らなかったユーザの各種指標や数値比較は重要である。これにより重要コンテンツ、導線の課題などが見えてくる。

■知っておいた方が良い解析のノウハウサイト

簡単ではあるが課題発見の基本的な手段である「指標の見かた」「比較で発見」と「解析の進め方」について解説を行ったが、様々な解析ノウハウがあるため、他のサイトで参考になるコンテンツの紹介を以下でさせて頂く。

●Google AnalyticsでWebサイトの課題発見を高速化するテクニック

●アクセス解析とは?基本ポイントから課題の見つけ方まで5分で理解!

● ユーザー行動解析~ユーザー視点でサイト課題を見つけよう