■全ては「お客様に寄り添う」事が目的

「マーケティング」は時代の変化に応じて新しい概念が派生してきました。特に「インターネット」の出現後は、出現前では見られなかったダイナミックな派生概念が生まれています。

例えば「パーミッションマーケティング」「クリック&モルタルマーケティング」などから新しい概念が生まれ始め、さらには「コンテンツマーケティング」「インバウンドマーケティング」「アカウントベースドマーケティング」などへと進化をしています。

またインターネットのツール(チャネル)を中心としたマーケティング手法の「Webマーケティング」「デジタルマーケティング」「データドリブンマーケティング」などの言葉も生まれました。

●氾濫するマーケティング概念

これらの多くがマーケティングサービス提供側のPRや都合で生まれているため体系的に生み出されてきたわけではありません。そのため整理されていない乱雑感、混とんとした印象を生んでいます。そしてこれがマーケティング理解を難しくしていると思います。

ここで誤解を恐れずあえて独断的に整理してみましょう。私の独断理解ですが次の図のように整理するとわかりやすくなると思います。

ポイントはデジタルとリアルの区分と関係性の整理、そしてコミュニケーションを主としたマーケティング手法の整理だと思います。それぞれの関係性を重複と捉えずに、「AはBに含まれる」という理解が良いと思います。これらを理解することでマーケティング全体もわかりやすくなります。

●基本は「お客様に寄り添う」

「マーケティング」を一言で言えば「自サービス、製品がマーケットで売れる環境を作る」ことです。その実現には「お客様に寄り添う事」が最重要アクションとなります。これは時代の変化に関わらず普遍的なコンセプトです。(お客様になる前であるため正確には「見込み客」である)

しかしその時代にあったコミュニケーション手段、情報収集方法の限界から「お客様に寄り添う事」が企業の勝手な解釈による「押し付け」であった時もありました。これは、繰り返しますが「手段」「方法」の限界から仕方がない事です。

以前のお客様との接点はマーケットをセグメント化してリサーチし、TV、新聞などの効果が見えない媒体、郵便や電話などの土足で家に踏み込むような方法でした。

しかしインターネットが出現しOne To Oneでのインターラクティブなコミュニケーションが可能となり、またインターネットの完全な普及で人類が経験した事もない情報収集の手段を誰もが獲得することができました。

これが分岐点となり、企業とお客様のコミュニケーション手段、情報収集方法の限界に大きな変化が生まれ、この変化によりマーケティングのダイナミックな転換が生まれています。

■主導権は「お客様」へ

インターネットの完全な普及と定着により、お客様はこれまで以上に媒体から発信される情報を信じなくなり、また土足のマーケティングに嫌悪感を高めるようになりました。

「必要なものは自分で調べて見つける」

「プッシュされてくる、押し付け情報はブロックする」

ほぼすべてのお客様がこうした意識で情報に触れています。完全に主導権、選択権は「お客様」が握った事になります。

つまり「お客様に寄り添う」をこれまで以上に追求しなければならず、しかも押し付けではなく、「お客様の立場になって導く」事が重要となります。こうしたアクションが取れない企業は市場(マーケット)からの退場を余儀なくされます。

これが、これからのマーケティングコンセプトになると断言できます。

●「お客様に寄り添う」マーケティングを何と呼ぶ?

「お客様に寄り添う」マーケティングは、前記した通り考え方としては真新しいものではありません。様々な企業からもこうした概念がすでに公開されています。例えば「インバウンドマーケティング」「ナラティブマーケティング」などもそれにあたります。また新しい造語をあえて作るとしたら「コンシェルジェ・マーケティング」と表現できます。ただ私的ですが最もわかりやすい言葉は「One To Oneマーケティング」だと思っています。

古いキーワードであるためインパクトに欠けます。しかしこれまで本質的な「One To Oneマーケティング」を実現できた企業は無く、今の環境とテクノロジーがあってやっと本来の「One To Oneマーケティング」が実現できるようになったため、今でこそ使うべき概念であると考えています。

そうした状況も含めてマーケティングキャストでは改めて、これこそが「One To Oneマーケティング」として解説を「Webマーケティングの基礎」で進めたいと思います。